RRR

おそまきながらRRRを見た。インド人対英国人という対立の物語の中に、インド人の男同士の友情物語が組み込まれて、とてもおもしろかった。インド人のナショナリズムと独立心の強さを誇るシーンがいくつもある。サルサやフラメンコはないが、ナートゥならあるといって、西洋人とダンスバトルするシーンは、現地では拍手喝采だろうな。

 

印象的なのは、途中、intervalという言葉が出てきたこと。インドの映画館では、途中休憩が入る。前編が終わると、明かりがつき、みんなトイレに行ったり、タバコを吸いに行ったりする。10分程度して、また後半が始まるのだ。

 

多分、この映画を見たほとんどの人は、intervalという言葉の意味がなんだかわからなかっただろうと思う。これから10分休憩です、という意味。これを全世界に公開する映画でやるというのは、インド映画のやり方を貫く、むしろ、このやり方を知ってくれ、広めたいというくらいの気概を感じるね。自信満々。

 

若い頃、インドを回ったとき、言葉がわからないながら、映画館に行った。インドは、ボリウッドだなんだと騒がれる前から映画が盛んだった。いたるところで映画のポスターが貼られていた。そこでどんな映画か興味があり、入ったのだ。内容はすっかり忘れたが、スタッフロールもなく、映画が途中で終わり、明かりがついた。1時間くらいで終わる映画かと思いきや、それがインターバルだった。そんな若い頃の旅の思い出が蘇った。1ヶ月以上放浪したインド。若い頃に行って良かった。今だと、あの国のパワーに気圧されてたかも。

 

もう一つ思い出した。その時、隣にはまったく知らない、ターバンを巻いたインド人が座っていた。映画の前に軽く話をしただけなのに、映画が始まって、笑いのシーンでは、大声で笑いながら、こっちを見て、「な?最高だよな。面白いだろ」って感じで肩をバンバン叩かれたり、アクションシーンの前には、肘でつついて、「これから、いいシーンが来るぜ!」みたいに合図したりと、とにかくフレンドリーだった。

 

千原せいじが、ガサツキャラで、どんどん踏み込んで来ると言われてるけど、インド人は特に西にそういう人が多い気がする。インド南部はなんか冷たく、冷静な印象を受けた。広いから、地域性もでてくるんだろうな。

 

 

ともかく、どのシーンでも、インドナショナリズムとインド文化への誇り満載だった。それが、プロパガンダにならず、一級のエンターティメントになっているのがすごい。

最後のエンドロール前のダンスシーンは、あえての中国や旧ソ連プロパガンダポスターのようなデザインの舞台と、国旗満載で思わずニヤリとした。監督がさり気なく数シーンでてるのも、フレンドリーさ満載。反骨精神とサービス精神が最高に良かった。。

 

 

インドは、イギリスから独立を勝ち取った。そして、今は、核を持つ本当の独立国になっている。振り返って、日本は、第二次大戦の後、ずっとアメリカの保護国。インド人は、影で、「俺たちは、哀れな日本みたいにはならない」と思ってるだろうね。

 

本当の意味でインドが強いから、RRRのような映画が生まれた。この映画は、第二次大戦後、アメリカの占領下にあるままの日本からは、絶対に生まれない映画だ。